第1回KNDP報告

北木ノースデザインプロジェクト

事業目的

・今回の事業は下記の3つの目的で実施しました。

①北木島の石材産業の再生 ・石材産業の振興のために新しいデザイン性を加味して新分野への挑戦、そして再生を目指す。

②公共交通の確保と観光産業への挑戦 ・対象エリアである「豊浦」「金風呂」の2つの港を結ぶフェリーの利用促進を図ることにより、観光が地域の足の確保に繋がるということを実感してもらう。

③アーティストインレジデンス事業によるアーティストとの交流と定住促進 ・2か月間アーティストが島で住みながら制作活動を行い、地域と交流する中で、住むところを比較的選ばないアーティストをIターンの対象者として、交流から定住へとつなげる。石屋の空き工場の跡地利用により、アーティストの工房として利活用を図る。

補正予算の議決の関係で取り組みがかなり遅れ年度末での事業完了となってしまった。

具体的な事業

9月から11月 ・対象エリアでの事業リサーチ 実行委員会の構成メンバーの選考 ・北木島の豊浦地区と金風呂地区との交流を意識して、地元町内会及び公民館・石材関係者等からなる実行員会を構成し、実施計画づくりを行おこなった。

・石材産業の新しい可能性を求めて、総合プロデューサーに桐山登士樹氏をお願いし北木石材関係のビジョンづくりを進める。

・12月12日 第1回北木島実行委員会 アーティストインレジデンス事業の概要説明と北木ノースデザインプロジェクトについての概要説明。

・12月13日~27日 アーティストの公募 参加アーティストの公募をインターネットを通じて行った。

・1月6日  アーティストの決定  公募の中から、吉川寿人(映像作家)・保元宏和(スプレーアート)の2名を専攻した。

・1月13日 アーティストレジデンスオープニング  

アーティストと総合プロデューサーの顔見せ。島民との交流会。第2回北木島実行委員会

・1月15日 制作開始~3月14日まで 2名のアーティストはあらかじめ市で用意した借家に2か月間滞在し、住民との交流を行い制作活動を行った。 また、住民とのワークショップや交流会も積極的に実施した。

・1月18日 北木西公民館でのワークショップ 北木西公民館の健康ウォーキングにわせて、スプレーアートの実演及び交流を行った。

・2月13日 北木小学校でのワークショップ 北木小学校の授業の中で午前中2時間、保元宏和氏がスプレーアートの授業を行った。 午後から吉川寿人氏が北木小学校の石切唄と鶴田石材の石切唄のコラボ映像を鶴田石材採石場で撮影を行った。そして、夜19時から第3回北木島実行員会を豊浦ふれあい会館で実施した。

・2月22日 北木西公民館でのワークショップ 保元宏和氏のスプレーアートのワークショップを北木西公民館で実施した。当日はアーティスト主催の昼食会も行われ、金風呂地区と豊浦地区の住民が交流を図った。

・2月27日 第4回北木島実行委員会 ・3月10日 第5回北木島実行委員会               

・3月14日 北木ノースデザインプロジェクト先取りプレスツアー 山陽新聞・産経新聞・KSB・笠岡放送・岡山県観光連盟 15日からの開会に先立って、プレスの皆様をご案内し、PR活動を行った。

豊浦アートギャラリー・千ノ浜アート村を中心に、アーティストの作品を紹介した。

・3月15日 作品展示開始~23日まで

メイン展示会場を千ノ浜アート村(旧馬越石材)・豊浦アートギャラリー〈旧奥田石材)2か所に設定し、2名のアーティストの作品と地元の方々の作品でレイアウトを行った。

・豊浦アートギャラリー(旧奥田石材)  アーティスト作品・保元宏和スプレーアート作品(160㎝×300㎝)・吉川寿人映像作品(北木島の歴史)  地元住民の協賛出品(今岡勝・油絵4点、石の彫刻作品・鳴本浩二3点・鳴本賢一3点、米田龍治1点、水野允善2点、パネル展示・石の歴史・北木ノースデザインプロジェクト概要)

・千ノ浜アート村(旧馬越石材)  アーティスト作品・保元宏和スプレーアート作品(30㎝×30㎝)30点、北木小学校児童スプレーアート作品、一般のスプレーアート作品。吉川寿人(北木島の風景と人28分、子供たちのスプレーアートの実演映像)、Iターン者の紹介パネル3点、桐山プランパネル6点、地元の方の水墨画3点、油絵3点、馬越昭二油絵展4点、北木幼稚園・小学校展示等。

島カフェ・・・弁当・茶席・コーヒー・草だんご・桜餅などを販売した。

・3月15日 福山リビング新聞社北木島アート体感ウォーク(50名) タウン情報誌のツアー企画に採用していただき、近隣の福山市より50名の参加者で、石の島とアート作品を体感していただくツアーを実施し、好評をいただいた。

・3月16日 フラダンスワークショップ(5名) 参加者が少なかったために、急きょ千ノ浜アート村で実施、地元のご婦人方を中心に5名の方が参加していただき、フラダンスを習った。

・3月20日 桐山プロデューサー提言・作品鑑賞会 桐山総合プロデューサーから今後のノースデザインプロジェクトが目指す方向性をご提案いただいた。併せて実行委員会も実施し、映像作家吉川寿人氏の映像を鑑賞した。

・3月21日~23日 北木ノースデザインプロジェクト見学ガイド 50名 山陽新聞の記事を見て来られるお客様に対し、ワークショップも併せての見学ガイドをを行い、企画をトータルに見学出来るように工夫した。

・3月21日 採掘職人体験ワークショップ(20名) 午前中はアート作品の展示場所の鑑賞を行い、午後からは鶴田石材のご協力をいただき、採石場での採掘の説明から、大割・中割・小割の過程の石割体験を実施した。

・3月22日 ピンコロ作り体験ワークショップ(10名) ピンコロの制作を20年前に行ていた採石・加工業の坪井常男氏の指導のもとに、ピンコロつくり体験を行った。 ピンコロ作り体験については21日・23日に坪井さんの好意で実施していただき、大勢の方にご見学・体験していただいた。

・3月23日 田舎暮らしのススメワークショップ(10名) 北木島で自給自足生活をしている山本公彦氏を迎えて、現在の自給自足生活についてレクチャーいただき、その後、実際に生活現場を見学した。

事業の総括

・石材振興の視点からの事業展開が不十分に終わった感がある。というのも、消費税の導入前の駆け込み需要の効果で、業界は通常に比べかなり忙しく、あまり本プロジェクトに割く時間がなかったようだ。具体的な桐山プロデューサーの提案もいただいたので、今度独自のものづくりも並行して行い、特産品としても北木石をアピールするという課題が次に期待される。

・今回の2人の作家については、スプレーアートの保元宏和氏は当初大きな壁画的な作品をイメージして制作する予定だったが、30㎝角の石版プレートに着目し、石肌を残してのデザイン性で気軽に置物として活用でき、動く広告塔としての位置づけとした。 吉川寿人氏は、島民からの要望の高かった北木石の歴史の作品18分。今の北木島の作品28分。の2作品を上映した。 2人の作家とも地域になじみ、交流の中で作品を制作していただいた。多くの子供たちや大人たちが関わる場面をつくっていただいたことが大きな成果になった。そして、作品展示の際の住民の協力体制につながった。 作品展示について、豊浦・千ノ浜2か所の場所の整備はそれぞれの地域の発表の場となり、競争しながら整備を進めていった。 期間中の観光客の入込につい 3月15日~23日の短期間での展示となってしまった。広報が十分に行われていなかった面もあり、外からの観光客が多かったとは言えない。しかし、その反面、地元への彼岸の帰省や地元の住民の方々がゆっくりと作品を鑑賞する時間がとれた。展示期間中の入り込み数500名 島民の参加200名